平等に人権が保障されるよう、被災者一人ひとりの視点に立った「一人ひとりが大事にされる災害復興法」の制度化に向け、5月2日、TKP 仙台ガーデンシティ仙台(アエル21階)でシンポジウムを開催しました。
このシンポジウムは、「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会(以下、つくる会)」が主催。現在の災害関連の法律は、被災者の暮らしが大事にされていないため、新たな法整備の必要性を訴えるために発足したものです。
まず初めに、「つくる会」の代表でもあり、パーソナルサポートセンター代表の新里宏二が、「これまで日本の災害法制は、大きい震災の後に、被災地からの声で変わってきた。今回のシンポジウムで、災害復興法のあるべき姿を一緒に共有し、考えながら、仙台だけではなく岩手や福島でもシンポジウムを開催していきたい」と開会のあいさつをしました。
次に、「つくる会」の共同代表である兵庫県弁護士会の津久井進氏が「現在の災害救助法は、大災害を想定していないため、仮設住宅には制限や期限があり、応急措置の目的を超えた現実をフォローできておらず、被災者のためになっていない」と指摘。「現在の仮設住宅は人間としての暮らしではない。人間を大事に考えているならば、行政優先ではなく、人間優先の住宅制度を考え直してほしい」と訴えました。
また、今回のシンポジウムの核である東日本大震災の被災者による当事者報告では、宮城県内の被災者が登壇し、涙ながらに法や行政の対応について報告。被災者の生の声を会場に届けました。
石巻市で「在宅被災者※」に特化した支援を行う一般社団法人チーム王冠代表の伊藤健哉さんは、「残念ながら公的な調査がされていないので、現在、在宅被災者がどれだけいるのかわからない状況。未だに修理が終わっていない家で、ぎりぎりの暮らしをしている人は多いが、ほとんどが放置されているため、この『一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会』には期待している」と話しました。
※在宅被災者~東日本大震災で被害を受けながらも、仮設住宅には引っ越さず、自宅で暮らす人や世帯。
「つくる会」の世話人を務める、パーソナルサポートセンター理事の菅野拓は、「個人の暮らしに対する被災の度合は、罹災証明や住宅の所有形態では測れない。住宅の壊れ具合だけではなく、暮らしに与えた影響で判定し、一人ひとりの暮らしをちゃんと守り、生活困窮の程度に合った給付制度を作るべき」と、目指すべき災害復興法のイメージについて提案しました。
最後に、一般社団法人SAVE IWATE もりおか復興支援センター生活支援相談員の阿部知幸さんが、「どんな大災害があっても、みんなで力を合わせれば、必ず生活は再建できる。それを言葉にし、全国に発信するために、みんなで頑張りましょう」と力強く宣言しました。
シンポジウムには約100人が参加。「一人ひとりが大事にされる災害復興法」の制度化に向けたキックオフとして、盛況のまま幕を閉じました。